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『地球のはぐれ方』
村上春樹氏ほか/文芸春秋
1400円(税込)
◆本書は、村上春樹が隊長の「東京するめクラブ」が、雑誌「TITLE」で連載していた記事を単行本化したもので、名古屋、熱海、ハワイ、江ノ島、サハリン、清里といった近場の秘境を徹底的に探検した旅行記になっています。
村上春樹といえば、今や押しも押される人気と実力を兼ね備えた世界的な作家としてノーベル文学賞候補にまでなっていますが、一方で軽妙なタッチのエッセイも人気で特に旅行記は結構何冊も書かれています。特に「辺境・近境」ではさぬきうどんの食べ歩きをしていて、それがきっかけで全国的にさぬきうどんブームが巻き起こりました。本書では、熱海やハワイといった典型的な観光地を再確認する旅をしていて、同行している都築響一や吉本由美と一緒にゆるーい旅話を書いています。今後、村上春樹がノーベル文学賞なんかを取って権威的な作家になったとしても、こういう感じのゆるい旅エッセイは書き続けて欲しいものです。
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『英国ミステリー道中ひざくりげ 』
若竹七海/光文社
3000円(税込)
◆本書は、旅と英国ミステリ小説を愛する愉快な夫婦が、ドイルやクリスティー、カーの故郷を歩き、優雅で知的なブリティッシュ・ミステリ&ノベルの世界を楽しく紹介した旅行記で、詳細な英国各地の古書店のガイドがついています。
イギリスといえば古本タウンとして世界的に有名なヘイ・オン・ワイがありますが、本書でもきっちり紹介されています。今、日本でも北尾トロさんや元ハートランドの店主斉木さんが中心になって長野の高遠を「日本のヘイ・オン・ワイ」にしようと「本の家」というブックカフェを立ち上げて頑張っていますが、その道のりはなかなか大変そうです。ただ、ヘイ・オン・ワイも何十年もかけてここまでの存在になったのですから、数年単位ではなくて長期的な視野にたって数十年かけて高遠を「本の街」にしてもらいたいですね。昨年第一回目を開催した「高遠ブックフェスティバル」が今年も開催されるそうですので、興味のある方はぜひ長野の高遠に行ってみてはいかがですか?
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