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一冊の本から次の本につながっていく文脈。ある本を読んで、本のなかに載っている本とか参考文献に出てくる本とか、著者に関係する別の作家の本とか。。一冊の本からどこまで続くのかわからない見切り発車だけど、ひとまずは始めてみよー
















『ペソアと歩くリスボン』
フェルナンド・ペソア

彩流社(1999/07) 単行本 新刊 1,995円(税込)

大西洋に浮かぶ群島からユーラシア大陸に戻ろう。ポルトガルの首都リスボンを案内してくれる本書は、ポルトガルの偉大な詩人フェルナンド・ペソアによって1920年代半ばに著された。

読者は詩人ペソアの案内でコルメシオ広場を起点に西へ東へ、リスボンの名所旧跡を巡ってゆく。テージョ川に降り注ぐ陽光の煌きに目を射られ、その美しさにうっとりしていると、唐突にクルマに乗せられて美術館を巡りをすることになったりする。展望台や教会、修道院に博物館と見てまわるところは沢山あって、読んでいて何だか先を急がされているような錯覚にも陥るのだけど、それはそれで悪くない感じ。巻末にあるのは1920年代のリスボン市街図。当時からおよそ80年経ったいまでも大まかな街の景色というか通りなんかも、日本と比べたらそれほど大きく変わっていないんじゃないかなあ。調べたわけじゃないので何の説得力もないんだけど。当時のリスボンの街並みを想像しながらページをめくる心地よさ。あるいは本書を現地に持っていって、実際そこに書かれてある広場に立ち、大通りを歩いてみた時、何が変わっていて何が変わっていないのか。そんな見比べをしてみたいなあ。写真だらけのガイドブックに慣れ過ぎてしまった目には、こんなふうに文字を追いかけていくガイドブックはなかなかに新鮮なんでないかなと。この感じ、吉田修一の『7月24日通り』の主人公の女性とちょっと似てるかもな。